生活

食べ物で遊ぼう

麦わら海賊団に童貞卒業を邪魔された話

 


小野寺少年20歳の冬 彼はまだ童貞だった

 


彼にとって女性とはファンタジーの産物であり、股から排泄物の代わりにフローラルな香水を醸し出す空想上の生き物であった。

 


ユニコーン ペガサス チュパカブラ 女性

 


そんな時代もいつか終わりを告げる

 


女性とはエログロの産物であり 股から出るのはフローラルではなく月一で血と共にダークマターだ あまりに現実とは酷すぎる

 

 

 

20歳童貞 大学2年生になって初めて知る童貞の重み、今まで仲間だった人間が1人 また1人と卒業したかと思うと光陰矢の如く後ろ指を刺し童貞達を見て嘲笑う その度に童貞の二文字の烙印はより深く刻まれ、染み付いていく。

 

 

 

きっかけはマッチングアプリであった とはいえ当時のマッチングアプリとは今ほど一般化しておらず、世間にアプリがダウンロードされているのを見つかるや否や魔女裁判の如く石を投げられ、川に捨てられた後浮いてこれば有罪 溺死すれば無罪といった具合に命がけの行為であったのだ。

 


大学2年で完全に周りとの差をつけられた俺にはもうマッチングアプリか公衆便所の落書きに電話するかの2択しかなかったのである。

 

 

 

なんやかんやでアプリでとても親しくなった女性がいたがそいつは博多在住 俺は名古屋という有り様であった。 

どうせ出会うこともないのだから如何に自分が追い詰められた状況であるか 20歳で童貞ということがどれだけしんどいか 文章上で何回も土下座を繰り返し「博多まで来たら初めて貰ってあげるよw」という言質を得た。

 


だがここで一つの問題が生じる。

片道12時間1万円の深夜バスに揺られてまでセックスをしに行く程の価値があるのかどうかだ

俺は片道12時間1万円とセックスを天秤にかける前に深夜バスのチケットをとっていた。

当然である童貞にセックスの価値など分からない天秤に乗せようがないのだ

答え合わせは帰り道にすればいい。

 

 

 

気付くと俺は12時間のバスに揺れていた

深夜の高速道路をオレンジ色に蛍光が照らす 移りゆく窓の光と共に今までの20年がフラッシュバックする 両親に懺悔と感謝を祈りを繰り返す 明日俺が俺でなくなるのだから。

 

 

 

朝5時関門橋を越えたあたりで渦潮を眺めるだけでイキそうである 流石の息子も決心したようであった。

そして長旅を終え 目を血走らせながら12時間勃ちっぱなしの男が今博多駅に降り立ったのだ。

 


そして改札前のマルタイと出会うと世界は一瞬で明太色に染まった。

 


その姿は 立てばもつ鍋 座れば豚骨 歩く姿は明太子といった感じの女性である

 


ちょっち茶でもしばくとよ とタリーズに入る

 


いきなり気まずい沈黙が続く それもそうだ この明太子を夜にはせっせと収穫に入るのである まともな会話など出来る訳がないのだ。

俺は何を思ったのかウォーキングデッドが如何に素晴らしい作品であるか ウォーキングデッドは神が俗世に与えた産物なのであると勝手に話しを始めていた。童貞の悲しい性である。

 

 

 

シーズン1から丁寧に伝え ちょうど総督が死ぬ下り辺りで3時間くらい経っていた 今思えば本当にいい子だったんでしょうね

 


そっから特に会話も弾むこともなく時間は流れる

 


ここで本当に俺のよくないところが出た

 


昼 おやつ 夜と3食全てラーメン屋に行ったのだ。

俺は目先のセックスに溺れるが故にムード作りなど全て忘れて 

 


せっかくの博多けん 楽しむっちゃね 

 


と行きたいラーメン屋全部に行った

 


間に喫茶店でコーヒーとウォーキングデッドを挟みつつ お、そろそろ次のラーメン屋の時間だな?と気付けば夜を迎えていたのである。

 


どんどん俺の心は締め付けられていく 

え?だってセックスさせてくれるって言ったじゃん 無理だよ 童貞なんだもん 居酒屋行ってそのまま2軒目行ってなし崩し的にラブホに連れ込む? 無理無理 酒飲めねえし 俺のカードはウォーキングデッドとラーメンしかないんですが?

と、如何にスムーズにラブホに連れ込むかで脳がいっぱいの俺に一つの希望が現れる。

 


これである

 

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たまたま歩いていたショッピングモールでは夜になると噴水と共にプロジェクションマッピングのネオンがなんともいなせなムードを作り出すショーがやっていたのだ。

 


噴水が上がるのを眺めた彼女は

「わっちのネオンも濡れてきたけんね... 小野寺にプロジェクションされて噴水上げて欲しいたい...///」って訳よ。

 


神は我にウォーキングデッドだけでなく噴水までお与えになったのだ 天は2ブツ与えまくりである 俺の3つめのブツもイキりを増していく。

 


そして...そのショーが遂に始まった その瞬間であった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドンッッッッッッ!!!!!!!!」

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!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

 

「俺達に任せろ〜〜〜〜!!!!」

「ナミすわぁ〜〜〜〜〜〜〜ん」

「俺は世界一の剣豪になる男だ」

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!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

 

 

 

 

 

(シュパァーーーーーーーーーーーン)

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!?!?!?!?!?!?wwwwwwwwwwww

 

 

 

 

 

 

 

「ゴムゴムの〜〜〜〜〜〜〜〜」

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「ピストル〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

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「ゴムゴムの〜〜〜〜〜〜〜〜」

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「ガトリング!!!!!!!」

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(シュパシュパシュパシュパシュパァーーーーーーーーーーーン)

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wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 

 

「宴だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

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「海賊じゃなくて友達じゃなくて俺たちは ファミリィ〜〜〜♪」

「To be continue」

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おわった 全て終わった

ワンピースコラボ中であった

 


味方だと思っていた噴水はどうやら敵だったらしい

 


彼女もなんか違ったねって苦笑いしてた

 

 

 

そのあと何やかんやでラブホには入れたものの、24時間ぶりのベットと不眠と度重なる疲れによって挿入までいかず2分ほど前戯をしてイッた直後に爆睡をかまし気づけば朝 彼女の姿はなく ラインはブロックされており 狐に化かされたのかもしれないという不思議な朝日だった。

 

 

 

「青春の終わりが童貞の終わり」こんな言葉がある

 


それなら僕の童貞はここで終わりだったのだろう

 

 

 

帰り道 マッチングアプリを削除し ウォーキングデッドシーズン7を視聴し始める彼の目は確かに前を向いていたのだった。