生活

食べ物で遊ぼう

冬来たり





久々に飲まないか? 大学の同期であるSからラインが来た。

Sは同じサークルの仲間であり俺たち陰の者が集まる界隈には似つかわしくない丹精な顔立ちをしており俳優の成宮君が不健康な時と言った感じである。後に成宮君が薬物容疑で捕まった際はヤク中の成宮そのものであった。

 そんな成宮と会うのは大学卒業してぶりであり2年近い再開だ。
 成宮は風の噂で結婚したと聞いていた、彼の大学時代といえばチンコの乾く暇がないほどのプレイボーイであった彼の吉報を聞き俺は半ば信じがたかった。

 そしてその噂を聞いた時には既に子供は生まれており新居を買いサークルのメンバーを呼んでホームパーティを行った後だという、おかしいな 俺は? 呼ばれてないんですけど。
 成宮の吉報を聞いた瞬間、脊髄で彼に電話をかけた

俺「お前俺になんか言わんといかんことあるんちゃうか」

成宮「...???」

俺「こう...なんか大きい買い物とかそういうのあったんじゃない?」

成宮「ああ、でかい空気清浄機を買った」

俺「そうだな、こう...空気とかも気を遣わないとあかんもんな...その買うきっかけとかさ...」

成宮「最近乾燥がすごいからね」

俺「そうじゃない」


半笑いでシラをきり続ける成宮 何でだよ 俺に知られたらまずい事でもあるのかよ


そんな成宮と2年ぶりに再開し会話をした



「仕事は?」



「ローンの支払いは?」



「子供の名前は?」



「結婚はしないの?」



「〜が仕事をやめたらしい」



そんな調子で会話を続けたが俺にはどうもしみったれた感情にしかなれなかった。


成宮は既にパパになっていた 未来を見ていたんだ


チンコの乾く暇なんてないぜ 2日もあいたら乾いて化石になっちまう おら天然記念物だ ありがたくしゃぶれや

そう語るあの頃の成宮はいない



俺は未来の話をしない いや、出来ないの方が正しいであろう

それは、何も世の中に悲観をしているとか、全てのことに絶望を抱いているからだとか、そんな安っぽい感情からでは決してない。俺には過去しかないからだ。

俺が過去と呼ぶのは2、3年前だ まだギリ許されるであろう

 ただ今後10年20年経って 俺は何にすがって生きていくんだろうな



また一年経ってしまった 今年を振り返るほど思い出がないな 2、3年前以来 全くと言うほど記憶がない 


そいえば夏くらいにこのブログを読んだライターの人から映画の記事を書いてくれないかと仕事の依頼がきた なんか金もそこそこ出るらしい


無理だよ無理 適当な理由つけて断ってしまった俺の脳は過去と妄想の話しか出来ないんだ


信じてくれた人を裏切るのは辛い

親をはじめ色んな人の期待を裏切って過ごしてきた
俺はこうなんだから仕方ないだろうというビッグダディ並みの言い訳しか思いつかない


俺はどうしたかったんだろうな どうしたいなんてことは分かっているしそれはもう今では不可能なことも分かってるんだ

ただもう少し もう少しだけ 安い発泡酒を飲んで「誰と誰がヤッた」みたいな話を続ける時間が続くと思ってたんだけどなぁ...




年の瀬ってのはどうもしみったれるそういうもんだろ?なあ